立ちなおる力って、生まれつきのものだと思っていませんか?
「Aさんはいつも前向き。それに比べて、私はネガティブにすぐなって…」
そんなふうに考え込んでしまうことありませんか。
でも、失敗や後悔に心が揺れるのは、誰にでもある、ごく自然な反応です。
立ちなおる力は、生まれつきだけで決まるものではありません。
経験や環境、そして小さな積み重ねの中で、育てることができる力です。
この記事では、「立ちなおる力」の基本となるしくみと育て方について、わかりやすくまとめました。
今日も無事過ごせた。
今日の終わりに、ちゃんと布団にはいれた。
そんな自分を、そっと励ましてあげたくなった時に、ぜひ読んでみてください。
「立ちなおる力」とは?
広辞苑では、「立ちなおる」はこう説明されています。
倒れた状態、悪い状態から、もとの良い状態に戻ること。
気落ちや失敗のあと、再び元気を取り戻すこと。
つまり、倒れたあと、また元に戻る力。
「立ちなおる力」とは、その回復に向かうエネルギーそのものを指しています。
レジリエンスと立ちなおる力
「レジリエンス(Resilience)」という言葉が、最近はビジネス研修でつかわれてきました。
この「レジリエンス」とは、困難や失敗に直面したとき、そこから立ちなおって、また歩き出す力のことです。
もともとは、ゴムが押されても元の形に戻る「弾性」を指す物理学の言葉でした。
それが心理学やメンタルヘルスの世界に広がり、今では「心の回復力」や「再び立ち上がる力」という意味で使われています。
立ち直る力はリジリエンスといって、 日本語では回復力・復元力・耐久力・再起力などと訳される言葉で、 困難やストレスにさらされても、しなやかに乗り越えて回復する力を指しています。
失敗や後悔に心が動くのは自然なこと
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーは、「プロスペクト理論」の中で、「損失回避バイアス」という心のを指摘しました。
人は、得た喜びよりも、失った痛みを、ずっと大きく感じる。
だから、失敗を思い出してぐるぐる後悔したり、うまくいかなかった痛みからなかなか抜け出せなかったり…
そんなふうに心が動くのは、とても自然なことなのです。
「今日も生きた」それだけで、じゅうぶん
無理に「強くならなきゃ」と思わなくていい。
まずは、「今日も無事に過ごせた」
それだけで、もうじゅうぶんです。
立ちなおる力は、そこから少しずつ育っていきます。
支え方に正解はない
立ちなおる力を支える方法にも、いろいろな道があります。
たとえば、
- 「思考」に働きかけるなら、見方や捉え方を描き直します。
- 「感情」に寄り添うなら、揺れる心の波を静かに受けとめる。
- 「行動」を積み重ねるなら、小さな「できた」を集める。
- 「環境」を整えるなら、安心できる土台をつくるなど…。
どれが正しい、ということはありません。
大切なのは、
いまのあなたにとって心地よいこと。
これからのあなたにとって、ちょうどいいこと。
私が大切にしている関わり方
私は、「自分で自分を選びなおせる力」を育てる関わりを大切にしています。
• 行動前の不安には、見通しを。
• 行動後の傷つきには、回復を。
何度でも、また立ちなおれるように。
支援のあり方には、たくさんの学びがあります。
ロジャーズ、スーパー、シャイン、ヴィゴツキー──
人の成長や回復を信じる理論にも、多く学んできました。
けれど何より大切にしたいのは、理論よりも、
「いまここにいるあなた」が、また一歩、自分らしく進めること。
生きているだけで、まるもうけ
明石家さんまさんが、大きな悲しみの中で生まれた言葉。
生きてるだけで、まるもうけ。
私たちはつい、「もっとがんばらなきゃ」「もっと結果を出さなきゃ」そんなふうに思いがちです。
でも、本当は
今日も生きて、ここにいる。
それだけで、もうじゅうぶんなのです。
最後に
失敗しても、後悔しても、泣いてしまっても、今日を越えたあなたは、それだけで、ちゃんと立ちなおっています。
どうか、あなた自身に「よくがんばったね」と、そっと声をかけてあげてください。
また、歩き出せますから。
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