看護師におすすめの資格「保育士」|子育てにも仕事にも役立つ3つの理由

「病院以外で働きたい気持ちはあるけれど…何ができるんだろう?」
「子育てはしてきたけど、それって仕事に活かせるのかな?」
看護師として臨床経験を積んできたからこそ、ふとそんな迷いが出てくるのは、次のステージを考えている証拠かもしれません。
ただ、ここで注意したいのは「資格さえあれば安心」と思わせる資格ビジネスに振り回されてしまうことです。
実際には、資格を取っただけでは仕事や収入につながらず、「せっかく学んだのに…」と後悔する人も少なくありません。
その中で、看護師・看護職の専門性と相性がいい資格は「保育士」です。
たとえば保育園で働く看護職は、看護師資格だけで採用されることもありますが、子どもの発達や保育の基礎理解がないと現場で信頼を得られず、
「子どものことも保育のことも知らないのに」
と言われて肩身の狭い思いをするケースもあります。
この記事では、そんな後悔をしないために「保育士資格をおすすめする3つの理由」を紹介します。
今のうちに保育を体系的に学んでおくことで、病院以外の現場でも自信を持って働けるようになりましょう。
病院しか現場を知らない看護師の弱点
看護師として病院で働いていると、どうしても「病気を見抜く力」「治療を支える力」が中心になります。
けれど一歩外に出てみると、そこで必要とされる役割と業務は少し違います。
たとえば、保育の現場なら「子どもを生活や発達を見守る視点」。
介護の現場なら「暮らしの中で寄り添う関わり方」。
企業や地域活動なら「治療との両立や予防医学で健康を支える視点」。
病院にいると症状を観察して治療につなぐスキルは磨かれますが、日常の小さな変化や人との関わりの積み重ねに目を向ける経験は少なくなりがちです。
これはある意味、病院しか現場を知らない看護師の弱点とも言えます。
でも逆に言えば、そこを学び直せば看護師の専門性はぐっと広がります。
保育士資格は、子どもを入口にして発達、家族関係論、地域支援、社会制度などの理解が進みます。
資格ビジネスに要注意
「誰かの役に立ちたい」
そのまっすぐな思いが、ときに資格ビジネスに巻き込まれてしまうことがあります。
多くの資格ビジネスは、「資格さえあれば安心」と見せるのが得意です。
けれど実際には、資格を取った先の働き方や収入の道筋まではフォローされず、結局は「資格を売ること」が目的になっているケースも少なくありません。
その結果、「資格は取ったのに仕事がない」と悩み、次々と別のセミナーを受けたり、
新しい資格を追いかける人が後を絶ちません。
もし本当に簡単に稼げるものなら、すでに多くの人が収入を得ているはずです。そうなっていないからこそ、そこに付け込むビジネスが生まれているのです。
私自身も子育てや仕事に役立つ資格をいくつも取得しましたが、それだけで未来が開けたわけではありませんでした。
むしろ、そこから自分で動き、経験を積み、工夫していくことが欠かせなかったのです。
資格に振り回されず、自分の経験や強みと掛け合わせてこそ、資格は本当の武器になります。
保育士資格が、看護師の子育てにも仕事にも役立つ3つの理由
看護師としての専門性と、子育て経験。その両方を活かせる資格が「保育士」です。
とくに次の3つの点で、看護師にとって強い味方になります。
- 仕事の選択肢が広がる
- 看護師としての強みを補える
- 国家資格なのに個人受験できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 仕事の選択肢が広がる
保育園や子育て支援センターなど、看護師だけでは入りにくい現場にも関われるようになります。
「保健+保育」の両方をわかる存在として、園内の健康管理や保護者支援に重宝されることも。
看護師資格だけのときより「選べる仕事」がぐっと増えるのは、大きな強みです。
2. 看護師としての強みを補える
看護師は「病気やケガの子ども」に接することが多いですが、保育士は「元気に過ごす子ども」の生活や発達を見守っています。
両方を学ぶことで、「普段のその子らしさ」と「病気の時の違い」に気づきやすくなります。
医療と保育をつなぐ存在になれるのは、子どもを支えるうえで大きな価値になります。
3. 国家資格なのに個人受験できる
多くの国家資格は養成課程に通う必要がありますが、保育士は珍しく「独学での受験」が可能です。
試験は年2回、筆記と実技に分かれ、科目合格制度もあるため、働きながら少しずつ挑戦できます。
仕事をしていてもでも、自分のペースで合格を目指せるのは大きなメリットです。
看護師が保育士資格を取得する方法は2通り
保育士になるには、国家資格「保育士資格」を取る必要があります。
その方法は大きく分けて 試験ルート と 学校ルート の2通りです。
- 保育士試験を受けて合格する
- 指定保育士養成施設を卒業する
どちらも看護師なら受験資格を満たしているので、社会人でも挑戦できます。
【1】保育士試験を受ける(社会人むけ)
もっとも一般的な方法です。
試験は年2回あり、
・筆記試験(8科目)
・実技試験(音楽・造形・言語から2科目選択)
で構成されています。
筆記は60%以上で合格。看護師にとっては「子どもの保健」が得意分野ですね。
合格した科目は3年間有効なので、働きながら少しずつクリアすることも可能です。
【2】指定保育士養成施設を卒業する
大学・短大・専門学校など、保育士養成課程のある学校を卒業すれば、自動的に資格が取得できます。
仲間と学べたり実習ができるメリットがありますが、社会人にとっては時間・費用・年齢のハードルが高めです。
【補足】実務経験ルートは関係なし
保育士試験には「実務経験ルート」もあります。
高卒なら2年以上(2,880時間)、中卒なら5年以上(7,200時間)の児童福祉施設での勤務が必要です。
ただし看護師はすでに大学・短大・専門学校(2年以上)を卒業しているため、最初から 「学歴ルート」で受験資格クリア済み。
つまり、実務経験ルートは考えなくてOKです。
保育現場の実習経験がないのが心配な人へ
「現場経験がないのが心配…」という場合には、自治体が実施している 子育て支援員研修 を受けてみるのもおすすめです。
子育て支援員とは、保育補助として保育所や福祉施設で働くときに役立つ資格です。
研修時間はコースによって異なりますが、トータルで20時間~40時間程度。
自治体主催のため無料で受講でき、保育補助としての実習も含まれるため、「まずは保育の雰囲気を知りたい」という人にぴったりです。
ちなみに、保育記録の書き方などの基本は保育士試験の内容に含まれています。
実際に就職すれば、先輩に教えてもらったり、雑誌や参考書を活用したりしながら、働きながら自然に身につけていけますよ。
保育士資格を取得するまでの流れ
保育士資格を取得するまでの流れは、大まかに以下になります。
- 受験資格を満たしているのを確認
↓ - 保育士試験申込み
【申込締切】前期試験:1月頃 / 後期試験:7月頃
↓ - 「筆記」試験受験
【試験実施時期】前期試験:4月頃 / 後期試験:10月頃
↓ - 筆記試験の合格発表
↓ - 「実技」試験受験
【試験実施時期】前期試験:7月頃 / 後期試験:12月頃
↓ - 実技試験の合格発表
↓ - 保育士資格取得
郵送により合格通知書の受け取り
詳細は、全国保育士養成協議会の「保育士試験を受ける方へ」でご確認ください。
まとめ
病院以外で働きたい気持ちはあっても、求人を見れば病院や施設ばかり。
「子育て経験を活かしたいけど、どんな形になるの?」と不安になるのは自然なことです。
保育士資格は、看護師としての専門性と子育て経験、その両方を活かせる資格です。
とくに次の3つの点で、看護師にとって強い味方になります。
- 仕事の選択肢が広がる
保育園や子育て支援センターなど、病院以外の現場で活躍できる。 - 看護師としての強みを補える
「病気を見る目」に加え、子どもの生活や発達を見守る力が身につく。 - 国家資格なのに個人受験できる
独学や通信講座で挑戦でき、働きながらでも合格を目指せる。
もちろん、資格を取るだけで仕事が舞い込むわけではありません。
でも、この3つの理由からもわかるように、保育士資格は「病院の外で働きたい」という気持ちに応えてくれる心強い選択肢になります。